第7回 シャンプーの構成成分
シャンプーの基本的な機能は、 毛髪、頭皮、肌を清潔にして健やかな状態に保つことです。従って洗浄成分が主体になりますが、使用感への要求も高まっていますので数多くの成分が配合されています。
その上、特徴を出すために配合されるものもあり益々増えます。
全成分表示のところには表示名称がずらっと並んでいて驚かれると思います。どのような目的で配合されているのかみてみましょう。
洗浄成分
主にアニオン界面活性剤が使用されます。
シャンプーの基本的な機能にかかわるものなのでシャンプーの特性を大きく左右します。
特に低刺激性のシャンプーを作るためには低刺激性の洗浄成分が必須です。代表的界面活性剤を低刺激性の順に並べると次のようになります。
アミノ酸系(タウリンも含む)≧石けん系>高級アルコール系(ラウレス硫酸Na>>ラウリル硫酸Na)となります。ただ、アミノ酸系と石けん系の低刺激性の差は少なく個人のお肌の特性や好みで決めれば良い範囲です。
アミノ酸系界面活性剤は石けんと同じ原料にアミノ酸が加わったような化学構造になっています。低刺激性で使用感も良いのが特長です。
保湿成分
毛髪、皮膚にうるおいのあるしっとり感を与えるために配合されます。【多価アルコール】:BG、グリセリン、ペンチレングリコールなどが主流で【生体系保湿成分】:ベタイン、PCA-Na、グルタミン酸【動植物性成分】:トレハロース、加水分解シルクなども配合されます。
増泡成分
泡立ちがよいと洗髪時に髪を傷めることが少ないので泡立ちは重視されます。特に泡立ちのよい界面活性剤が増泡成分として使用されます。きめ細かく泡立ちのよいラウロイルメチルアラニンNaなどを主剤にする時は、改めて配合しないこともあります。
増粘成分
粘度がないとシャンプーを手にとった時に流れてしまうので増粘します。一般にはセルロースなどの高分子化合物を配合しますが、他の手段で粘度を上げることもあります。
コンディショニング成分
今のシャンプーはコンディショング性(髪のつや、うるおい感、さらさら、しっとり、クシ通りなど)を重視していますのでよく配合されます。カチオン化セルロース(表示名ポリクオタニウム-10)、ジメチオンなどのシリコーン化合物、カチオン界面活性剤などが代表例です。
防腐成分
防腐対策をしていないシャンプーはありません。最も一般的な防腐対策は防腐成分の配合です。
パラベン、フェノキシエタノールなどが代表例で、パラベンを怖がる人もいますが、健常者にとっては問題ありません。
アレルギーの方には パラベンなどは使わない方がベターなので、防腐剤と定義されていなくても防腐効果のある成分(BG、ラウリン酸ポリグリセリル-10など)で目的を達することもあります。
香料
リラックス効果や好み、技術的必要性があって配合されます。無香料にするにはアミノ酸系界面活性剤の使用など技術的配慮が必要で、高級アルコール系界面活性剤主体では無香料にできません。
アレルギーの方は無香料が無難だと思います。
また、無香料であればアロマテラピーの知識のある方はご自分の体質、体調、好みに合わせて香りを楽しむこともできます。
特殊成分
消炎剤(グリチルリチン酸2Kなど)、ふけとり剤(硝酸コナミゾール,ジンクピリジオンなど)で、グリチルリチン酸化合物が広く使用されています。
その他成分
溶解補助剤、金属封鎖剤(EDTA)、pH調整剤(クエン酸、乳酸)などが該当します。
良いシャンプーの選び方▶
2008年4月から1年間、NPOアレルギーネットワークさんの会誌「あんだんて」に連載されました。下記のリンクよりそれぞれのページをご覧いただけます。
- 第 1回( 4月号) ● 「良いシャンプー」とは
- 第 2回( 5月号) ● シャンプーをとりまく環境の変化
- 第 3回( 6月号) ● アトピーの方のシャンプー選び
- 第 4回( 7月号) ● “洗う”と界面活性剤
- 第 5回( 8月号) ● 界面活性剤の基礎知識
- 第 6回( 9月号) ● 界面活性剤の基礎知識(補足)
- 第 7回(10月号) ● シャンプーの構成成分
- 第 8回(11月号) ● シャンプーの選び方
- 第 9回(12月号) ● 無添加処方
- 第10回( 1月号) ● 天然系
- 第11回( 2月号) ● 情報の質から選ぶ
- 第12回( 3月号) ● 選び方のまとめ
上記資料は、アレルギーのある方にとっての「良いシャンプー」の選び方です。一般的な良いシャンプーの条件、選定時のキーワード(低刺激、天然系、無添加、香り、アミノ酸、弱酸性など)を整理した「 シャンプー選び 」がありますのでご利用下さい。ここでは「 良いシャンプーの選び方 」の8回~11回に相当する部分を詳しく書いています。