第3回 アトピーの方のシャンプー選び

“ 自分で選定する判断力を持っていただくこと”が何より大切です。
選定では 低刺激性、 低アレルギー性、 天然系、 アミノ酸、 使用感、 価格などが話題になりますが、アトピー性皮膚炎の方にとっては、それ以前に配慮すべき選定上の原理・原則があるように思います。
アトピー関係の本にもよく出てくることですが、私見も交えて整理しました。
判断基準はご自分の肌
安全、安心を求めたときに万能なシャンプーはありません。
“安全なものとは、ご自分のお肌に合ったもの”とお考えいただくのがよいと思います。
一般的な 低刺激性、 低アレルギー性は1つの指標にはなりますが、あくまでもご自身が基準です。
ただ、低刺激性、低アレルギー性のものは比較的多くの方に合う確率が高いとは言えます。
代えるときは慎重に
お試しサイズで確認し(特に慎重にする時は部分的に使ってみるのも一案)調子のよい状態が約3週間続けば一安心です。
さらに続けて問題がなければご自分の“お気に入り”にします。
これを決めて置いて新しいシャンプーに出合ったときの比較の基準とします。
試してみて基準品よりマイナスと思われるときは直ぐ使用を中止します。プラス面よりマイナス面を重視します。
プラス思考で臨む
今は低刺激性、低アレルギー性で使用感のよいものが、いろいろ開発されています。
「アトピーだからあれもダメこれもダメ」「ギシギシしてもしょうがない」など悲観的にならず、選定を楽しむくらいの気持ちを持ちましょう。特に脅かし商法にまきこまれない注意が必要です。
正しい知識を持つ
アトピー性皮膚炎の理解も含め、シャンプー素材などにつき正しい知識を持つように心がけます。
ある主張を持った方は、皆自分が「正しい」と考えている訳ですから、その見極めが難しいです。
ここでは「正しいとは、その分野の専門家の主流の考えかた」を指しています。
総合的に冷静に判断する
探す段階では特定の項目、製品だけにこだわらず、広い範囲で情報を収集します。
使った時の判断は、 使用方法、 その時の体調、 ストレスの有無、 気候(特に季節の変わり目)などを含めて、総合的にかつ冷静に評価します。
“アトピー性皮膚炎とは、よくなったり悪くなったりを繰り返す・・・”と定義されています。
また、個人差も大きいので、自分の結果が必ずしも他の方に適用できるとは限らないことを承知しておきましょう。逆の場合も同じです。
自分の好みで決める
以上のように考えてくると技術的に確かなものしか選定できないように感じますが、そうでもありません。
自分の好み(理屈では説明できないことであっても)も選定上の重要な因子とします。
自分の好み=ストレスがないということでもありますので、大いに活用しましょう。
石けんが好きで現在問題がないならそれでよいと思います。ただ、それによって他の方の選択肢を狭めてしまわないようにしましょう。
一般的な選定基準も活用する
低刺激性、 低アレルギー性、 天然系、 アミノ酸、 メーカーの姿勢、 使用感、 価格などの一般的な選定要因も参考にしましょう。
アトピーの方にとってはその前提となる項目があることを示すために敢えて最後に書きました。
選定にあたって
試してみるのが一番確実な方法ですが、短期間で数多く変えると要因が錯綜して真の比較ができなくなります。広く調べたのち、候補を絞ってテストすることをお勧めします。
良いシャンプーの選び方▶
2008年4月から1年間、NPOアレルギーネットワークさんの会誌「あんだんて」に連載されました。下記のリンクよりそれぞれのページをご覧いただけます。
- 第 1回( 4月号) ● 「良いシャンプー」とは
- 第 2回( 5月号) ● シャンプーをとりまく環境の変化
- 第 3回( 6月号) ● アトピーの方のシャンプー選び
- 第 4回( 7月号) ● “洗う”と界面活性剤
- 第 5回( 8月号) ● 界面活性剤の基礎知識
- 第 6回( 9月号) ● 界面活性剤の基礎知識(補足)
- 第 7回(10月号) ● シャンプーの構成成分
- 第 8回(11月号) ● シャンプーの選び方
- 第 9回(12月号) ● 無添加処方
- 第10回( 1月号) ● 天然系
- 第11回( 2月号) ● 情報の質から選ぶ
- 第12回( 3月号) ● 選び方のまとめ
上記資料は、アレルギーのある方にとっての「良いシャンプー」の選び方です。一般的な良いシャンプーの条件、選定時のキーワード(低刺激、天然系、無添加、香り、アミノ酸、弱酸性など)を整理した「 シャンプー選び 」がありますのでご利用下さい。ここでは「 良いシャンプーの選び方 」の8回~11回に相当する部分を詳しく書いています。