第1回 良いシャンプーとは

2007年秋に開催された講演会「 アレルギっ子の医衣食住(いいくらし)」および「 アトピー性皮膚炎とスキンケア」でお話した内容といただいたたご感想・ご質問をもとに作成しました。
シャンプーの役割
アトピー性皮膚炎における シャンプーの役割は、「 “洗う”ことを通してQOLの向上に役立つ」と考えることができます。この役割を十分に果せるのが「良いシャンプー」と言えるでしょう。
シャンプーはアトピー性皮膚炎(“アトピー”と略記します。)を治すものではありませんが、スキンケアの一環として毛髪、頭皮、肌を清潔にして健やかな状態に保つことによりサポートします。その上で QOL(生活の質)をさらに高めるには気持ちよく使えるものでありたいものです。
このためには低刺激性・低アレルギー性でピリピリしないことは当然として一般的な良いシャンプーの条件も満たしていることが望まれます。
一般的な良いシャンプーの条件
- 1、過度な脱脂を抑制し、適度な洗浄力
- 2、キメ細かく豊かな泡立ち
- 3、肌や毛髪に刺激がなく安全性が高い
- 4、洗浄後の肌や毛髪の仕上がりが良い
これらの条件をアトピーの方にとってどのレベルで達成しているかが大切です。
アトピーの方は皮脂の分泌が少なく乾性肌でもありますのでご自分の肌にあった洗浄力で保湿力もあるものが適しています。敏感肌の方はアトピー用が参考になりますが、まれに脂性の方もおられますのでこの場合はご自分にあった洗浄力のものを選ぶ必要があります。
キメ細かく豊かな泡立ちは洗髪時の毛髪の傷みを防ぎますのでヘアシャンプーでは必須な条件です。また泡立ちが良いと使い過ぎないのでこの面でもアトピーの方にとってプラスです。(環境にもやさしい。)
洗髪中の使用感および 乾燥後の仕上がり感も重要です。アトピー故になにか(例えばギシギシする、泡立ちが悪い、髪のまとまりが悪いなど)を我慢するのではつらいものがあります。今は素材および配合技術も進歩していますので幅広く探していただけば低刺激性で環境にやさしく使用感も良いものがあります。
良いシャンプーの条件とその存在が分かったとしても星の数ほどあるシャンプーの中からご自分にあったものをどのように選ぶのかが次の課題です。今は情報を入手しやすくなりましたが玉石混交ですので、取捨選択が必要です。その参考にしていただくために次回から「シャンプーをとりまく環境の変化」や「界面活性剤の基礎知識」など順を追って書いて行こうと思います。
良いシャンプーの選び方▶
2008年4月から1年間、NPOアレルギーネットワークさんの会誌「あんだんて」に連載されました。下記のリンクよりそれぞれのページをご覧いただけます。
- 第 1回( 4月号) ●「良いシャンプー」とは
- 第 2回( 5月号) ●シャンプーをとりまく環境の変化
- 第 3回( 6月号) ●アトピーの方のシャンプー選び
- 第 4回( 7月号) ●“洗う”と界面活性剤
- 第 5回( 8月号) ●界面活性剤の基礎知識
- 第 6回( 9月号) ●界面活性剤の基礎知識(補足)
- 第 7回(10月号) ●シャンプーの構成成分
- 第 8回(11月号) ●シャンプーの選び方
- 第 9回(12月号) ●無添加処方
- 第10回( 1月号) ●天然系
- 第11回( 2月号) ●情報の質から選ぶ
- 第12回( 3月号) ●選び方のまとめ
上記資料は、アレルギーのある方にとっての「良いシャンプー」の選び方です。一般的な良いシャンプーの条件、選定時のキーワード(低刺激、天然系、無添加、香り、アミノ酸、弱酸性など)を整理した「 シャンプー選び 」がありますのでご利用下さい。ここでは「 良いシャンプーの選び方 」の8回~11回に相当する部分を詳しく書いています。