敏感肌

自分が 敏感肌と感じている女性は1980年では5人に1人、90年では3人に1人、2000年では約半数まで増加してきたとの資料があります。(1)

最近のデータではさらに多いとの報告もあります。(5)

一方、横浜市立図書館の検索を例にとれば、「○○…で始まる」という図書の検索を行なうと、アトピー:148件、アトピー性皮膚炎:78件、であるのに対し、敏感肌:1件です。

インターネットで検索した場合、「敏感肌」の内容やケアの問題よりも「敏感肌用化粧品」という言葉の方が先行している印象を受けます。

敏感肌についての簡単な解説をしましたが、詳しくはここにご紹介した(3)、(4)の本をご覧下さい。

専門的は事項については「Fragrance Journal 2002年10月 特集 最近の敏感肌研究と敏感肌用化粧品の開発」が参考になります。(5)

敏感肌

色々なところで「 敏感肌」という言葉が使われますが、統一された定義は国内外でされていません。(1)
香粧品科学分野では次の二つに大別しています

  1. 普段から化粧品や紫外線などでトラブルを起こし易く、多くの人には何でもない物質に対しても特異的に反応してしまう、アレルギー物質や刺激性物質に体質的に敏感な肌
  2. 刺激に対して敏感になり、一時的に皮膚にトラブルを起こし易くなっている肌をさしています。

最近のアンケートでは女性の80%が敏感肌と感じている例もありますが、この中には原因がはっきりしないまま、なんとなく敏感肌と思い込んでいる方もおられるようです。

皮膚科学分野では多少異なり、資料(5)では詳しく解説されていますが、ここでは省略します。

敏感肌用化粧品

製品開発コンセプトとして次の3点が重要です。(5)

1.低刺激性、低アレルギー性
当然素材はこの条件を満たしたものを使いますが、旧・表示指定成分(そのなかでも、タール色素、香料、防腐剤など)はできるだけ使わないようにする。(2)
2.保湿性を十分にする
乾燥を防ぎ、皮膚のバリア機能を改善し保湿性を高める配合とする。
3.使い心地、使用感を向上させる
1、2の条件を満たしながら、使い心地、使用感がすぐれたものが求められている。

敏感肌に触れた本はまだまだ少ないので、アトピー性皮膚炎の本が参考になります。
しかし、私が紹介した10冊の本は、アトピーに関しては素晴らしい著書と思いますが、化粧品、シャンプーなどの選定については表現が疑問なものもあります。
経歴欄で見て、化粧品に関係しておられる先生のご意見を参考にされると良いと思います。

その意味では下に紹介したお二人の先生の著書をおすすめします。(3)、(4)
両先生は、“自然派”、“表示指定成分無添加”、“無香料”などの持つ表面的な良さとその裏に潜む危険性を鋭く指摘しておられます。
これらの問題については私も化粧品技術者の視点で詳しい解説を載せておりますので、「 お肌の?」のページをご覧下さい。

敏感肌のスキンケア

当たり前のことですが、個人差が大きいことを先ず念頭におき、自分が何が原因で敏感肌であるのかを考えてみましょう。

一般に、こすり過ぎ、洗い過ぎがトラブルの原因になりやすいので注意しましょう。 こすり過ぎ、洗い過ぎ については別のページを設けました。

いずれにせよ、基礎的な正しい知識を持っておくことが、解決の早道なので、ご面倒でも今回紹介した本の(3)、(4)か、「アトピー性皮膚炎の本」で紹介した本の (1) (6) のうち、いずれかを読まれることをおすすめします。 特に下記の(3)、(4)は判り易く説明されています。

資料

(1)野田章、Fragrance Journal、27(9)、40(2001)

(2)日本化粧品工業連合会編 コスメチックQ&A事典 -資料編- 敏感肌用化粧品

(3)太田みどり著 敏感肌のスキンケア 光文社

(4)馬野詠子著 スキンケアの科学 はまの出版

(5)Fragrance Journal 2002年10月

Fragrance Journal 2002年10月の特集
 専門家の間でどのようなことが、話題になっているか、参考までに引用しました

著者 所属 標題
伊藤正俊 皮膚科医 皮膚科医からみた敏感肌の皮膚科学的考察と対策
池野宏 皮膚科医 臨床医からみた敏感肌とその治療
有川順子 皮膚科医 アトピー性皮膚炎における敏感肌
須貝一郎 花王 敏感肌の皮膚生理的特徴
小川朋康ら カネボウ 敏感肌におけるスティンギングテストと感受性に関する考察
市川秀之ら 資生堂 敏感肌の皮膚特性とストレスの関与について
太田尚子 ポーラ 化粧品分野での敏感肌の定義と皮膚特性
岡本裕子 コーセー 敏感肌用化粧品・医薬部外品の開発
的場美佳 メーカー 植物エキスによる刺激緩和効果について
山戸直弥 メーカー 敏感肌向けのアミノ酸誘導体化粧品原料
赤塚龍司 メーカー 敏感肌用の植物由来ならびに合成系化粧原料の開発と機能
[時評] 敏感肌の解決こそ化粧品科学の使命

メーカー:日光ケミカルズ、味の素、クローダジャパン