アミノ酸と髪の修復
メール・掲示板等で、髪のダメージと修復法についてのご質問をいただくことが多いので、「アミノ酸と髪の修復」「
アミノ酸とタンパク質」の2ページを追加しました。
ご参考になれば幸いです。
髪の構造
毛根で作られ押し出されて伸びてきた髪は、すべて死細胞で自力での細胞分裂や修復ができません。
よって、傷んだ髪を良くしようとする場合、外部から手当てをしない限り良くすることはできません。
髪は右図のような構造で、基本的に
タンパク質(=アミノ酸の集合体※1)から成り立っています。
その中でも、フィブリルとマトリックスは合わせて
コルテックス(毛皮質)と呼ばれ、毛髪重量の大部分を占めています。
フィブリルは結晶型ケラチンタンパクの硬い繊維で、分子量が大きめ(約80,000)です。
マトリックスは非晶型ケラチンタンパクで柔らかく、繊維の隙間を埋めるセメントのような役目を持っていて、分子量は小さめ(約10,000)です。
また、マトリックス中には
NMF(天然保湿因子※2)と呼ばれる物質が含まれていて、髪の水分を保つ役目も持っています。
※1身体を構成するタンパク質は 20種のアミノ酸で成り立っていますが、髪のタンパク質でもほぼすべてのアミノ酸が使われています。
※2 NMF(Natural Moisture Fucotr:天然保湿因子)は「 アミノ酸」「 PCA(ピロリドンカルボン酸塩:アミノ酸であるグルタミン酸が変化したもの)」「 乳酸塩」その他によって構成され、皮膚の表皮角質にも含まれています。
髪のダメージの種類
外部の損傷

物理的損傷・ 形態的損傷ともいわれ、主にキューティクルがダメージを受けます。乱暴なブラッシングなど、外的要因での損傷が主です。
パーマでの過膨潤により髪の表面にシワが出来た状態『 リンクルヘア』や、縮毛矯正・ストレートパーマ時のミスでキューティクルをはがしてしまった状態も物理的損傷に含まれます。
症状は、枝毛・切れ毛・とかしにくい・絡まる・手触りが悪い・ツヤがないなどです。
「トリートメントしてもつるっとしない」「シリコーンを使っても絡みやすい」という状態の毛髪は、親油性であるキューティクルが剥離して無くなってしまっていることが原因です。
髪が濡れた状態では特に傷みやすいので、ホームケアでは丁寧に扱うことが大切になります。
内部の損傷
化学的損傷・ 質的損傷ともいわれ、主にマトリックスがダメージを受けます。 内部損傷の多くは、パーマ・カラーやシャンプー・リンス・トリートメント・仕上げ剤などの薬剤によるものが主です。
症状は、パサつき・ゴワつき・枝毛・ハリやコシがないなどです。
内部損傷の多くは、
マトリックスと呼ばれる
間充物質が流出・変質してしまったことが主な原因で、これが無くなってしまうと、繊維同士がバラバラになるので枝毛になりやすくなります。同時に、髪の保湿成分の流失で乾燥の原因にもなります。
また、パーマ・カラーなどはほとんどがマトリックス部に作用するので、「
パーマがかかりにくい」「
カラーが染まりにくい・
色落ちが早い」といった弊害も出ます。
マトリックスの修復には、
失われたタンパク質とアミノ酸を補充・定着させることが必要で、
シリコーンや油脂類での修復は不可能です。
毛髪内部に分子量の大きいタンパク質は非常に浸透しにくいので、タンパク質の分子量を小さくしたアミノ酸やPPTを使用して毛髪内に浸透させることが有効な手段となります。
シャンプーにおけるアミノ酸
アミノ酸系洗浄成分、保湿成分は低刺激性で使用感もよいので好まれます。このためamino、アミノ酸などを謳ったシャンプーが色々と出ていますが、配合内容からみると次の3種類に大別されます。
○ アミノ酸系洗浄成分を配合したもの
○ アミノ酸系保湿成分を配合したもの
○ アミノ酸石けんを配合したもの
このうち アミノ酸系洗浄成分を配合したものが正統派と言えるでしょう。保湿成分配合の場合、洗浄成分は何でも良いので低刺激性を期待される方は配合成分をよく吟味されるとよいと思います。
洗浄成分、保湿成分ともアミノ酸ならベストです。
あんだんての場合は、
ラウロイルメチルアラニンNaというアミノ酸系洗浄成分と髪の傷み防止に効果のある
ベタインという天然アミノ酸の保湿成分を使用しています。
アミノ酸と髪の補修の関係
このようにアミノ酸は髪の使用感や髪の補修に深く関わっているのですが、一般の方には、知られていません。
そこで一般の方は勿論のこと美容師さんの基礎知識としていただけるように、少し専門的な下記の解説ページを作成しました。
アミノ酸とタンパク質▶
このページではあんだんての原料として多く使われている『 アミノ酸』と『 タンパク質』についての基本的知識を持っていただけるよう、髪に限定せずに解説します。