あんだんてシャンプー
良いシャンプーの選び方


第10回 天然系
天然物の利用では次のような色々なケースがありますので広く"天然系"ととらえるのがよいと思います。
1.天然物を原料として製造された素材
2.天然物と同一のものを化学合成または微生物合成した素材
3.天然物から特定の成分を分離・精製した素材
4.天然物を混合物のまま溶剤抽出または分離・精製した素材
安全性との関係をよく理解して選定に役立てて下さい。

天然物は安全か?
"天然物だから安全"などと言う会社がありますが、そのようなことはありません。
天然物であれ合成物であれ"安全なものは安全"ですし、多少問題なものはどちらにもあります。
天然物は化学物質の集合体ですから、単独の化学物質にない大きな魅力を持っている半面、集合体であるが故にその中には危険な化学物質(*1)を持っていることもあります。地域、気候などにより組成が変わる問題もあります。この長所、短所をいかにうまく使いこなして行くかが大切です。
多くの方が天然系に安心感を持っておられます。それはそれでよいと思いますが、技術的背景も知った上で選定上の参考になさって下さい。

天然物を原料として製造された素材
洗浄成分はごく一部のものを除き、このグループに属します。石けんはじめアミノ酸系、高級アルコール系などすべて天然油を原料としていますので天然○○、植物由来と言っても間違いではありません。しかし、11月号記載のように種類によって低刺激性、低アレルギー性で差があります。

天然物と同一物を化学or微生物合成した素材
ヒアルロン酸、トレハロース、ヒノキチオール、BG(最近できた)などがこれに属します。もともと使用実績のある成分が大量生産できコストも下がったので価値があります。化学的には同一化合物なので大いに活用して欲しいと思います。

天然物から特定の成分を分離・精製した素材
甘草の根から得られるグリチルリチン酸(消炎成分)、ビート糖の副産物である糖蜜から得られるベタイン(保湿成分)などがあります。
特にグリチルリチン酸は、Web事典のウィキペディアで「グリチルリチン」「グリチルリチン酸二カリウム」で検索してわかるように、極めて複雑な構造を持った化学物質です。これを化学合成したら大変高価なものになります。こういうものが自然界に存在し分離・精製すれば有効に活用できることが天然系の魅力の1つです。
と同時に天然物が化学物質の集合体であることもおわかりいただけたことと思います。

天然物を溶剤抽出または分離・精製した素材
天然または自然派を謳った製品に好んで使用される素材です。多くの場合、BG、エタノールなどの溶剤で抽出されますが、その中の天然物の濃度は1%程度です。これをシャンプーに2%程度配合しないと効果を発揮しないと言われます。
ですから製品中濃度は0.02%となりますが、それで効果が出るのは天然物の魅力でもあります。
しかし、むやみに種類を増やすのも問題です。
ときどき天然物10種配合という例もありますが、そのままでは溶剤が20%にもなってしまうので実際には1つの天然物の配合濃度を下げます。
天然物のなかにはアレルギーに効果のあるものもありますがAさんに効いてもBさんにはマイナスという個人差もあるのが難しいところです。
数多く配合すると1つ1つの濃度が減って効果が下がる一方、アレルギー物質は微量でも影響する問題があります。天然物が10種類も入っていればそれだけ効果がありそうな感じになりますが、アレルギーの方は慎重に選定されるとよいと思います。アレルギーを避ける効果的な方法は、"シンプルイズベスト"だと私は考えています。

化粧品技術者の責務
消費者は天然系、自然派などに"安全、安心"を期待していますので天然系、自然派などを謳う場合はすべての素材について安全性の高いデータのものを選定・配合すべきだと思います。しかし天然物は配合しているものの洗浄成分は低刺激性の素材を選定していない例も稀にあります。全成分表示を活用して選定されることをお勧めします。

*1 植物は、森林浴で知られるフィトン(植物の意味)チッド(殺すの意味)などの芳香物質をからだから出して、他の生物に信号を送り、自らを護っていると考えられます

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