使い過ぎ

最近は地球環境を守ろうと言うキャンペーンが多くなされ、グリーン購入も法制化されています。
この活用もひとつですが、まず何でも使いすぎないことが大切だと私は思います。

物が安くなり、大量に出まわっているので、私達は知らず知らずのうちに物を使い過ぎています。
河川、湖沼、海洋などで環境問題が起きているのは、自然環境に存在する微生物(*1)の処理能力以上に色々な物質が排出されているからです。

それを補うために下水処理場などが整備されていますが、ここへの負担をなるべく減らす努力が私達の日常生活にも求められています。
下水処理場に入る汚染物質の大半は家庭排水で、その中でも洗剤類(合成洗剤、石けん、シャンプーなど)が主体と言われますので使い過ぎには特に注意が必要です。

洗剤類のなかで汚染の程度が大きいのは洗濯用です。
最近は、洗濯の習慣自体が、”汚れたから洗う”から”着たから洗う”に変わっていますので、それに見合った洗剤の使用量を厳守して行くことも重要です。

私達の生活上の工夫で下水道への負担が減った事例が本に出ていましたので紹介しました。(*2)

注釈及び参考資料

*1 自然界に存在するものなら、どんな毒物でも、処理してくれます。
猛毒のダイオキシンですら分解菌が土壌に存在します。
天然系が環境にやさしいというのは、歴史が古いので分解してくれる菌が必ず存在するためです。アミノ酸はタンパク質の構成成分ですから当然分解されやすいものの代表例の一つです。
*2 三島市の実験

静岡県三島市光ケ丘団地で1978年に行なわれた大規模な実験で、洗剤の種類や使用方法を変えて下水処理場の状況を観察しました。
実験期間の前半は各家庭で合成洗剤を使って従来の生活パターンで過ごしました。
後半は石けんを使いましたが、この時には洗濯のしかたを工夫したり、てんぷら油をそのまま捨てないようにするなど排出する有機物を減らすために、十分な話合いを持って進めました。
その結果、後半は下水道に入る水量が1割減り、有機物汚染負荷(BOD)も1割減りました。
このことは石けんと合成洗剤のBOD量に与える影響(化学的な性質)を考慮すると、有機物を減らす努力が大きな効果を発揮したことを示しています。
技術的な専門知識を必要とするので、ここで簡単に説明することは困難ですが、私達の努力次第で環境への影響を大きく減らせることを実証できました。
少なくともこの実験結果をこう解釈することもできると私は思います。

この実験のもう一つの側面

同じ条件で比較すれば、合成洗剤の方が石けんより汚染の程度が小さいのに、この実験の表面だけの数字から、石けんは合成洗剤より環境にやさしいとの話にすりかえられています。
20年後の今日まで”環境にやさしいのは石けんだけ”との石けんの宣伝に使われてきました。
大矢勝(横浜国立大学 助教授)著「合成洗剤と環境問題」、「合成洗剤は本当に有害なのか?」に詳しく書かれ、その問題点が追求されています。
私も永年、疑問に思っていたことが、この本で解明されましたので、引用させていただきました。この場を借りまして御礼申し上げます。
さらに、この問題に限らず、刺激性の評価、シャンプーの髪質への影響など、石けんにまつわる話にはインチキくさいものが多いことが、判りやすく解説されています。
石けんの刺激性は中程度で、健常者にとっては使いやすい面もある良い製品ですが、信奉者が極論に走り過ぎるために、却ってイメージダウンになっているのは残念なことです。